冠元穎粒は1型、2型糖尿病において血糖値に影響しなかったものの、糖化タンパクの生成を抑制した。また、糖尿病による糖化タンパクの生成、トリグリセリド、総コレステロール値上昇および脂質過酸化促進に対する冠元穎粒は抑制効果を示した。また、肝臓におけるトリグリセリドと総コレステロールも低下させた。この作用機序として、冠元穎粒が脂質合成に関与する転写活性化因子のSREBP1とSREBP2を抑制することにより、脂質代謝を制御する可能性が考えられた。また、PPARaに対しては、その発現を増加させることにより肝臓の脂肪酸のβ酸化を促進し、血清トリグリセライドを抑制することが考えられた(図17)。また、これらの機序に糖尿病にともなうフリーラジカルの抑制作用が関与すると推測される。
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積によりインスリン抵抗性(糖代謝異常、糖尿病)、脂質代謝異常(高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症)、高血圧などの動脈硬化の危険因子が、一個人に集積している状態である。冠元穎粒は、高血糖、高脂血症、高血圧を改善し、脂質代謝異常を是正することから、メタボリックシンドロームの改善に有用であることが考えられた。

図17.2型糖尿病肝における脂質代謝是正機序(仮説)
冠元顆粒薬理解説「1-4 まとめ」01