認知症とは「脳や身体の疾患を原因として、記憶・判断力などの障害がおこり、普通の社会生活がおくれなくなった状態」と定義されている。
認知症は、脳が病的に障害されておこり、その原因となる病気は、頭蓋内の病気によるもの、身体の病気によるものなどたくさんある。

*認知症の主な原因疾患(1、2)
a.頭蓋内病変
1.変性疾患
①アルツハイマー病 ②レビー小体型認知症 ③前頭側頭型認知症
④進行性核上性麻痒 ⑤ハンチントン舞踏病 ⑥パーキンソン病など

2.脳血管障害
①脳梗塞 ②脳出血
Ⅲ.頭部外傷
①慢性硬膜下血腫 ②いわゆるパンチドランカーなど
Ⅳ。正常圧水頭症
V.脳腫瘍

b.全身性疾患
1.内分泌障害
①甲状腺機能低下症 ②汎下垂体機能低下症

2.代謝性認知症
①ウエルニッケ脳症(ビタミンB1欠乏症) ②ペラグラ(ニコチン酸欠乏症)
③ビタミンB12欠乏症
Ⅲ、感染症
①梅毒 ②HIV ③クロイツフェルト.ヤコブ病

しかし、認知症の多くは「脳血管障害による認知症」と「アルツハイマー病」である。
日本では、脳血管障害による認知症の方がアルツハイマー病よりも多いと言われていたが、最近ではその割合が逆転し、アルツハイマー病の方が多いとの報告がある(図1)。

図1.認知症の原因疾患
冠元顆粒薬理解説「2-1 総論」01

認知症の診断基準は、以下のすべてがそろっている状態である
①記憶障害がある。
②失語・失認。失行・実行機能障害のひとつがある。
③①と②のために生活に支障がある。
④①と②の原因として脳などの身体疾患がある。
⑤意識ははっきりしている。

(アメリカ精神医学会1994年DSM*-Ⅳによる)
*DSM:DiagnosticandStatisticalManualofMentalDisorders
認知症の高齢者も年々増加し、2005年は約189万人、20年後には約292万人に達すると予測されている。特に、85歳以上のお年寄りの4人に1人が認知症といわれ、非常に身近な問題として考える必要がある。